ブルベの種類

ブルベはフランス語で「認定」の意味です。

Audax Japanが行っているブルベはACP、RM認定ブルベのBRMとフレッシュ、ACP認定パーマネントのシューペル・ランドネです。日本でBRMやフレッシュを開催したり結果の認定を受けるためにはAJを通さなければなりません。それは、AJがACPから日本での管理監督を委任されているためです。
日本では、ブルベといえばACP、RM認定のBRMと思いがちです。しかし、実際には様々な種類のブルベがあり、BRMはその中のひとつです。フランスではBRM以外のブルベが数多く行われています。BRMの最高峰であるPBPが正式にはParis Brest Paris Randonneurと名付けられているのは、他のブルベにもPBPがあるため、はっきりと区別する必要があるからです。
日本では、BRMが導入されるときにはパーマネント形式のルートNが実施されていました。これは日本独自のブルベと言えるでしょう。ただ、当然ながらACP認定ブルベではありません。ルートNは現在(2008.11)休止中ですが、Audax Japanとは関係ありません。Audax Japanが本サイト内でブルベという言葉を使う場合には、断り書きがない限りACP、RM認定のBRMおよびフレッシュ、ACP認定パーマネントのシューペル・ランドネを対象にしています。自転車雑誌などのイベントカレンダーに掲載する場合には、イベント名の最初にAudax Japan BRMをつけます。
では、BRM以外にどのようなブルベがあるのでしょうか。フランスを中心に紹介しておきます。 BRM フレッシュ シューペル・ランドネ に関してはそれぞれのページをご覧ください。
まず、ブルベで主なものは、ランドヌール(Randonneur)、オダックス(Audax)、ディアゴナール(Diagonales)の3種類です。通常、ランドヌールはBRMを指しますが、フランスではランドヌールまたはランドネとついたBRM以外のブルベは数多くあります。しかし、国際的に発展してフランス以外の国でも開催されるようになったのがBRMとAudax(もともとはイタリアで誕生)なので、フランス以外の国ではブルベと言えばBRMやAudaxというように認識されるようになったようです。
ちなみに、 フランス・シクロツーリズム連盟(FFCT) は3200クラブ、12万人以上の会員をもつ組織でACPも登録していますが、FFCTのイベントカレンダーでBRMはRandonnee RouteあるいはBrevet Routeの中に含まれています。

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オダックス Audax

オダックスは1897年6月12日、イタリアのサイクリスト12人がローマからナポリまでの230kmを1日で走ったことから始まりました。当時の道路や自転車からすると、まさにラテン語のAudax(大胆な)ものだったのです。日の出から日没までに200km走れるサイクリストのことをAudaxと言ったそうです。Audaxはキャプテンの先導のもとに決められた一定速度で走るものです。
1904年、ツール・ド・フランス創始者であるアンリ・デグランジェ(Henri Desgrange)がフランスに導入、ACPはその後16年間Audaxを実施していました。しかし、ACPとアンリ・デグランジュとの間に軋轢が生じ(ACPがデグランジュの新聞l’Autoのライバル紙のイベントに協力したことが主な理由)、デグランジュがACPからオダックスの認定権を剥奪したため、オダックスの存続を望むメンバーはACPを脱退し、デグランジュとともにUnion des Audax Cyclist Parisien(現在のUnion des Audax Francaises/UFA))を設立してBrevet Audaxを実施するようになりました。
そしてACPに残ったメンバーは1921年に個人個人が自由な速度で走るスタイルのBrevet de Randonneurs Francaises(現在のBrevet Randonneurs Mondiaux)を開催するようになったのです。
Audaxは現在でもUFAが Brevet Audax として実施しています。休憩時間を除いた走る平均時速22.5kmで休憩時間も決められています。Audaxには1000kmや5年毎に開催されるParis Brest Paris Audaxもあります。ACP認定のものはParis Brest Paris Randonneurです。
距離 制限時間
100km 7 時間
200 km 14時間
300 km 20 時間
400 km 27時間
600 km 40時間
また、RM認定のMGM(MADRID-GIJON-MADRID)1200kmはランドヌールですが、MGM主催クラブ L’UAI はオダックス形式のBREVET 200〜600kmを開催しています。 UFAでは他にも、 Randonnees permanentes という超長距離サイクリングがあり、アンリ・デグランジェが作った ガリビエ峠を目指すルート 、 フランスからイタリア・ブリンディシまで2250km などがあります。

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ディアゴナール Diagonales

ディアゴナールはシクロツーリズムの父と呼ばれるベロシオ(ポール・ド・ヴィヴィ)が発案し、1930年に始まったものです。現在でも、フランス・シクロツーリスム連盟(FFCT )によって主催されています。フランス国内のディアゴナール・ド・フランスに止まらず、ユーロディアゴナール、グラン・ディアゴナール・デューロップへと続き、ディアゴナールだけでヨーロッパ横断(縦断)ができるという壮大なるブルベです。

1. ディアゴナール・ド・フランス Diagonales de France
ディアゴナール・ド・フランス はフランスの国土を六角形に見立てて、対角線設定した9つのルート全てを走破することを目指すものです。ルートには平均速度から計算された制限速度がありますが、スタートとゴールが決まっているだけで、コースは自由に設定できます。また、走行する日程は走者も自由に決めることができます。走行中は全て自力で賄うのが鉄則で、自動車の伴走は禁止されています。ベロシオの遺言に従い、走行時間を公表することは認められていません。これらの規則に反すると、永久に参加資格が剥奪されます。
ルート 距離 制限時間
Brest – Menton(ブレスト〜マントン) 1400 km 116 時間
Dunkerque – Perpignan(ダンケルク〜ペルピニョン) 1190 km 100 時間
Dunkerque – Menton(ダンケルク〜マントン) 1190 km 100 時間
Hendaye – Strasbourg(エンダイユ〜ストラスブール) 1170 km 99 時間
Brest – Perpignan(ブレスト〜ペルピニョン) 1060 km 89 時間
Brest – Strasbourg(ブレスト〜ストラスブール) 1050 km 88 時間
Dunkerque – Hendaye(ダンケルク〜エンダイユ) 1050 km 88 時間
Hendaye – Menton(エンダイユ〜マントン) 940 km 78 時間
Strasbourg – Perpignan(ストラスブール〜ペルピニョン) 940 km 78 時間
2. ユーロディアゴナール EuroDiagonales
ユーロディアゴナール はディアゴナールの起点となる6つの都市からそれぞれ国外にルートが設定されています。
ルート 距離 制限時間
STRASBOURG-BUDAPEST(ストラスブール〜ブダペスト) 1150 km 150時間
DUNKERQUE-COPENHAGUE(ダンケルク〜コペンハーゲン) 1075 km 150時間(フェリー4時間含む)
HENDAYE-LISBONNE(エンダイユ〜リスボン) 1170 km 151時間
MENTON-BARI(マントン〜バリ) 1190 km 152時間
BREST-INVERNESS(ブレスト〜インバーネス) 1190 km 160時間(フェリー8時間含む)
PERPIGNAN-MALAGA(ペルピニョン〜マラガ) 1265 km 171時間
3. グラン・ディアゴナール・デューロップ Grandes Diagonales d’Europe
グラン・ディアゴナール・デューロップ は最初にユーロディアゴナール、次にディアゴナール、さらに2本目のユーロディアゴナールを走り、3つのルートをつなぐ際の停止時間は48時間以内でなければいけません。
  • インバーネス〜ブレスト〜マントン〜バリ
  • コペンハーゲン〜ダンケルク〜ペルピニョン〜マラガ
  • ウィーン〜ストラスブール〜エンダイユ〜リスボン *ウイーンはブダペストにかわってます。
真ん中の六角形がフランス国内を走るディアゴナール・ド・フランス、6つの都市から国外に向かってユーロ・ディアゴナールの6ルートが延びる。ユーロ+フランス+ユーロとつなぐとグラン・ディアゴナール・デューロップとなる。

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ブルベ・シクロモンターニャル・フランセーズ(BCMF) Brevet cyclo-montagnard francais

アルプス山脈、ピレネー山脈、ジュラ山地、ヴォージュ山脈、そして中央山塊の5つの山岳地帯で実施されているのが BCMF です。最近はCyclo-Montagnardesと呼ばれるようです。ルートは毎年FFCTのサイトに掲載されています。80〜200kmで累積標高2000〜4000mとなっていますが、実際には230kmで4900mというアルプスルートもあります。BCMFにはそれぞれのルートにBrevet de Randonneursとついていますが(つかないものもあります)、BRMではありません。

2013年BCMFルート

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FFCTで他のブルベ

FFCTのイベントにはブルベと名のつくイベントが数多くありますが、長距離を制限時間内に完走すると認定を与えるものばかりではなく、むしろ少ないようです。要は、主催者から何らかの課題が与えられ、それをクリアした者に「認定」を与える形式のイベントはブルベと呼ばれるということです。
  • Brevet feferaux100- 150 – 250 – 350 – 500 – 1000 kmまで
  • ブルベ・ド・イニスィアスィオン Brevets d’initiation 12〜18歳の青少年を対象に、サイクルツーリングの様々な側面を教示し、自立を促すサイクリングイベントです。
  • ブルベ・ツーリスティク Brevets touristiques フランス国内の風光明媚な地域や、地形的および歴史的に特別な地域を単独あるいはグループで各自のペースで走る、旅の要素の強いサイクルツーリング。
  • VTT・ド・ランドネ VTT de randonnee MTB版のブルベ。

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パーマネント Permanent

フランス以外でも開催されているブルベの一つにパーマネント(Permanent)があります。
パーマネントの特徴は、(ルートが通行止めになっていない限り)一年を通していつでも走ることができ、出走者が出走日時を自由に選べることです。主催者が指定した特定の日時にスタートするイベントと異なり、出走者が好きな日時に出走することができます。その反面、出走者自身の事前準備と責任がより強く求められます。また、パーマネントのコースは基本的に一年だけで終了することはなく、同一のコースが恒久的に実施されるのも大きな特徴です。
なお、パーマネントは世界各地で行われていますが、BRMと違い認定団体によってルールが異なることも特筆されます。AudaxUKが認定するパーマネントはAudaxUKが定めたルールで実施されます。RUSAが認定するパーマネントはRUSAが定めたルールで実施されます。そして、AudaxUKとRUSAではパーマネントのルールに違いがあります。RUSAが実施しようと、AudaxUKが実施しようと、ACPが認定し、ACPが定めたルールで実施されるBRMとの違いのひとつです。
日本で2013年から実施するシューペル・ランドネ(SR600)は、パーマネントのひとつでACPが認定します。そのためACPが定めたルールで実施されます。

(オダックス・ジャパン/齋藤喜康、白木 緑、柳沢宏和)

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最終更新日: 2017/12/05